高知を拠点に、全国各地で経営・事業計画 (ビジネスプラン) 策定、商品開発、販路開拓などの経営支援を行う、中小企業診断士/経営コンサルタントの茂井康宏です。
ビジネスプランについては、多くの経営者が相反する体験をしています。
時間をかけて作成したにもかかわらず売上が伸びなかったという声がある一方で、事業の見直しや外部制度の活用を契機として、経営の整理が進み、意思決定が楽になったという話も少なくありません。
この違いは、経営者の能力差や運の問題なのでしょうか。
今日は、国内外の研究をもとに、「ビジネスプランは業績を上げるのか」という問いに対してお伝えしていきます。
結論から申し上げると、ビジネスプランは、条件がそろったときにのみ経営にプラスの影響を与えます。
研究を俯瞰すると、ビジネスプランが業績向上と関連したとする結果もあれば、逆に失敗確率を高める可能性を示したものも存在します。
つまり、ビジネスプランは万能でも無意味でもなく、効く場合と効かない場合がはっきり分かれているのが実態です。
その理由は、ビジネスプランそのものが利益を生む道具ではないからです。
研究では、ビジネスプランは経営を前に進める装置にもなれば、思考を縛る固定観念にもなり得ると整理されています。
この違いを分けるのが、「何のために作られ、どのように使われたか」という点です。
まず、プラスに働きやすい条件の一つ目は、ビジネスプランが資金や支援、人材といった外部資源の獲得と直結していることです。
国内の実証研究では、制度の採択結果そのものよりも、検討プロセスを通じたプラン作成や専門家との対話が、生産性改善と強く関連していたと報告されています。
重要なのは、プランを書いたという事実ではなく、プランを材料に議論が生まれたかどうかです。
二つ目の条件は、ビジネスプランの中でKPI (従業業績評価指標)が明確に設定され、それが実際に運用されていることです。
実務の現場を見ると、世の中のビジネスプランの多くは、目標数値があいまいであったり、KPIそのものが設定されていなかったりするケースも少なくありません。
そのような中で、中期経営計画を対象とした研究では、計画策定段階で具体的な指標が設定され、その達成状況が定期的に確認されることで、現場の意思決定が実際に変わることが示されています。
逆に、数字が並んでいるだけで、達成・未達について検証や議論が行われないプランは、立派な冊子で終わってしまいます。
ビジネスプランが効くのは、KPIを通じて管理の道具として使われたときに限られます。
一方で、マイナスに働く条件も明確です。不確実性が高い環境にもかかわらず、ビジネスプランが固定的に扱われる場合です。
海外の研究では、環境変化が激しい中で厳密なプランに固執すると、事業の解散や撤退の確率が高まることが示されています。
前提条件が崩れているにもかかわらず、プランを守ること自体が目的化すると、軌道修正の機会を逃してしまいます。
ここまでを整理すると、ビジネスプランは、資源を引き寄せ、行動を変え、学習を促すときに経営に効きます。
反対に、環境変化の中で修正されず、守ること自体が目的になると、経営の足を引っ張る存在になります。
中小企業の現場に置き換えると、その違いはより明確です。
うまくいくケースでは、事業の見直しや、資金調達、外部支援の検討などを契機として、誰に、何を、どのように売るのかが整理され、支援者や金融機関との具体的な議論が始まります。
一方、うまくいかないケースでは、ビジネスプランを作成した段階で満足してしまい、その後は棚にしまわれ、現場の行動は何も変わりません。差を生むのは完成度ではなく、使われ方です。
最後に、次の一手です。
ビジネスプランを「正解探しの書類」から「経営を動かす道具」へと位置づけ直してください。
具体的には、誰から何を引き出すためのプランなのか、どの数字が誰の行動を変えるのか、前提条件が崩れたときにどこを書き換えるのか。
この三点を意識するだけで、ビジネスプランは机上の空論から、実務で使える武器へと変わります。
[ビジネスプラン・商品開発・販路開拓]
株式会社プランコンサルティング
代表取締役社長・中小企業診断士 茂井康宏
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