高知を拠点に、全国各地で経営・事業計画 (ビジネスプラン)策定、商品開発、販路開拓などの経営支援を行う、中小企業診断士/経営コンサルタントの茂井康宏です。
はじめに|コンセプトです!の違和感
創業や新事業、商品開発の現場で、こんな場面に出くわします。
「これが当商品のコンセプトです」と示された言葉が、実はキャッチコピーだった。
本人はコンセプトのつもりでも、よく見ると「伝えるための表現」にとどまっていることは少なくありません。
混同|なぜ、話がまとまらないのか
コンセプトとキャッチコピー。
この2つを区別せずに進めると、何が起きるでしょうか。
商品の方向性を議論しているはずが、いつの間にか「どう言えばウケるか」の話にすり替わります。
設計の土台がないまま表現だけを磨いても、判断基準がブレ続けるのです。
気づき|「設計図」と「ラベル」
両者の違いは明確です。
コンセプトは「中から組み立てる設計図」。
キャッチコピーは「外から貼るラベル」。
似た言葉に見えても、役割がまったく異なります。
事例|QBハウスに見る構造の違い
QBハウスの例がわかりやすいでしょう。
創業者の小西國義氏が掲げたのは「10分の身だしなみ」。
まだ形のない構想を、顧客にとっての価値として言語化した設計図です。
「言葉→実体」の流れで生まれ、商品設計や組織の判断基準になる。これがコンセプトの役割です。
一方、利用客やメディアはQBハウスを「1,000円カット」と呼びました。
目指したのは「安さ」ではなく「時間価値」。
しかし、外から見た最大の特徴が価格だったため、こう呼ばれた。
すでにある実体の魅力を第三者が切り取った表現、これがキャッチコピーです。
「実体→言葉」の流れで生まれます。
注意点|混同が招く2つの失敗
この混同は、具体的な失敗を招きます。
1つ目は、判断基準の喪失です。
コンセプトが曖昧なまま開発を進めると、「この機能は必要か」「価格帯はこれでいいのか」と議論が紛糾します。
設計図がないため、声の大きい人の意見に流される。
防ぐには、企画段階で「誰の、どんな悩みを、どう解決するか」を一文で言語化しておくことです。
2つ目は、表現の空回りです。
キャッチコピーだけを先に決めると、響きの良さに引きずられ、実態と乖離します。
「プレミアム」「唯一無二」と言葉が先行し、中身が追いつかない。
コンセプトを固めてから表現を考える。この順序の徹底が防止策です。
骨格がなければ、何を着ても似合わない
キャッチコピーは服、コンセプトは骨格です。
服はいくらでも着替えられます。
しかし骨格がなければ、何を着ても似合いません。
いま手元にある言葉は、設計図ですか。それともラベルですか。
[ビジネスプラン・商品開発・販路開拓]
株式会社プランコンサルティング
代表取締役社長・中小企業診断士 茂井康宏
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